2002ワールドカップ予選E組:ドイツ×サウジアラビア(札幌ドーム)(02/06/01)


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<試合経過>

ドイツ 8 - 0 サウジアラビア
圧倒的なまでの、ドイツ完勝劇

21世紀初、そしてアジア初めてのW杯が開幕!
海外窓口を頼りにゲットしたサウジアラビアのTSTチケットを握り締め、国内第2戦の行われる札幌まで行ってきました。
懸念されたチケット名義と本人照会については、チケットの色確認をするだけで何もなし(他人名義のチケットだったので、一応身分証明書に免許証を借りてチケット確認のゲートで申し出たんだけど、特に何にもありませんでした)。
催し物のヨサコイオンドを見つつ、少し物足りない観客席に違和感を感じつつも試合開始。

試合は序盤からドイツペース。あっという間に中盤を制圧すると、テンポの良いパス回しと効果的なサイドチェンジでサウジアラビアの守備陣を崩していく。
前半早々には、ヤンカーがDFとGKを蹴散らしながらゴールに押し込むも、これはファール。しかし、ゲームは完全にドイツが支配。

そして前半20分、ツィーゲとのコンビネーションから左サイドを破ったバラックのクロスに、クローゼがヘッドで先制。その5分後にはまったく同じような展開から再びクローゼがヘッド。前半終了間際にも、やはり左サイドのクロスに今度はバラックが飛び込んで3点。そしてロスタイムには、右サイドからのボールに反応したヤンカーが押し込んで、前半だけで4-0とドイツ攻撃陣が爆発することになった。

前半まったく良い所が無かったサウジアラビアは、後半選手を2人変えて流れを変えようとするも、ドイツの勢いは止められない。
後半も早々に、CKにリンケがヘッドで合わせて5点目。その後、3度クローゼがヘッドを決めてハットトリックを完成すると、ヤンカーに代わって登場したビアホフもゴールを決め、またもロスタイムに、止めとばかりにシュナイダーが見事なFKを決め8-0で終了した。

サウジアラビアは終始良い所がなく完敗。今後のゲームに悪い影響が出なければよいのだが‥‥。

没落の一途と言われたドイツだが、クローゼなど新鋭の台頭もあり、今後が楽しみな状況になったと言える。


<Undoの目>

ついに21世紀初、そしてアジア初のW杯がやってきました!当然これは見に行くしかない!見に行きたい!とチケット獲得を目指したのですが、国内販売は全て撃沈。諦めてキャンプ地ツアーに出ようかな〜と思っていたところ、FIFAで海外窓口としてチケットが手に入るという情報をゲットしたのです!
さすがに人気カード目白押しのF組などは売り切れていたけど、スケジュールや対戦国などを検討して、サウジアラビアのTSTチケットをゲットしました。

この初戦は、没落著しいと言われるドイツとアジアの仲間サウジの試合となったわけですが、「腐ってもドイツだろ」ということで観戦。いや、現ドイツ代表監督のフェラーの選手時代ってファンだし。監督にサインもらうのはアリですか?(笑)

さて、その試合と言えば、もう何と言っていいやら‥‥。ありていに言えば「大人と子供のサッカー」という感じでしょうか。
はっきり言ってW杯のレベルじゃねーよ‥‥。これでアジア枠の拡大とか望んでるんだから、アジアも良い身分だよなあ、って気分になってしまいました。

では、そのサウジについてちょっと個人的な分析、というか8点差敗退の要因を考えてみました。
決定的な問題だったと思うのは、4-4-2というフォーメーションでの戦い方。別に4-4-2というフォーメーションが悪いのではなく、その「戦い方」に問題があったと思います。
その象徴がディフェンスライン。サウジのディフェンスラインは4バックをしいていて、ドイツのターゲットマンであるヤンカーにCB一人がきっちりついて、もう一人がスイーパーのように一人余るような形で守っていました。しかし、そのヤンカーへの対応が悪かった。トップに張っているだけのヤンカーを、CB2人がケアし過ぎて、ヤンカーの居る位置に合わせて守ってしまったこと。お陰でヤンカーはオフサイドの心配をすることも無く、ずーっとペナルティエリアの前に居つづけることが出来たわけです。これでDFラインが下がりっぱなし。そもそもお互いのフォローが少ないサウジは、これだけで前線と最終ラインの間が開きすぎてしまったわけです。コンパクトにプレーエリアを作っているドイツとは対象的。
しかもこのCBは、悪いことにのこのこヤンカーについていってしまうので、簡単に中央を手薄にしてしまうし。ドイツの早い左右の揺さぶりに対応しきれず、簡単にサイドをえぐられると、ニアに動くヤンカーに着いて行っちゃうんだもんな。これじゃ、名手デアイエもどうしようもない。
中盤に目を移しても、やっぱりダメ。ドイツの5人の中盤のうち、両サイドに張ったツィーゲ、シュナイダーを意識して、サイドに張り出し過ぎてしまっていた。結果、技術でも劣る中盤が数でも劣ってしまい、センターサークルからペナルティエリアの、ボールを簡単に持たれたくないエリアを易々とドイツにあけわたしてしまっているわけで。
この中盤のスペースが空き過ぎてしまっているのは、攻撃にも悪影響を及ぼしていて、効果的なボールの散らしもすることも無く、簡単にドイツの中盤の網にかかっていく。FW陣もドイツ守備陣に対して無力だしどうしようもない。
そもそも、効果的なサイドチェンジも出せず、見方のフォローも少ないという状況では、攻めても守ってもどうしようも無いわけで。結局カーンに”ボールをキャッチさせる”ようなシュートすら撃つこともできませんでした。そりゃ「簡単すぎた」って言われるよな。
正確なサイドチェンジが出せないにしても、もう少しプレースピードを上げるとか、お互いのフォローを意識して、ボールを持たないプレーヤーの第2、第3の動きをつけるとか、そういうことをもっと意識して次の試合に望んで欲しいもんだ。このままじゃ、この後も無残な結果が続きかねない。
‥‥正直、このクラスで戦うには、サイドチェンジをちゃんとできる力が必要だな、と思いました。

ではドイツ。上記の通り「没落」が囁かれていたわけですが、結果は圧倒的なまでの力の差を見せ付けられました。少なくとも二周りは実力差が有りすぎました。コンパクトなプレーエリア、正確なキックと早いプレースピード。そして確実に決める決定力。どれも申し分なし。全ての得点シーンは、まるでシュート練習を見ているかのような展開でした。
何より、新星クローゼの活躍はドイツにとって最高の朗報でしょうね。各国とも、確固たるFWは喉から手が出るほど必要なわけで、強いチームにはちゃんとそれがいるわけだし。クリンスマンというカリスマの後、ビアホフは衰えが見え始め、他にも決定力にイマイチかけた混沌としたFW事情は、この23歳の新鋭の台頭で解決したかのように思えます。
と言っても、”まるで練習をしている”みたいなくらい、サウジが対戦相手としてダメ過ぎたのも事実。今後、アイルランド、カメルーンなどと対戦しても、崩れることが無ければ本物だと思います。選手のポテンシャルは十分あるわけだしね。

試合評はこのくらいにして、観戦していて思った事をちょっと。
まず、なぜか空席が目立ちました。ちょっと見づらいかと思いますが、こんな感じ→(640x480:63KB)

これはドイツ側のスタンドなのですが、サウジ側は更にひどい。丁度僕らの座っていた前のあたりが、丸々1ブロック空いていたのです。
最初は、何かツアーの分が遅れているだけなのかなあ、とか考えていたのですが、結局最後まで観客は来ず、何人かの観客が席を前に移していました。サウジサポーターも少なくて、試合状況もあって寂しい限りだし。
ついでに、中立な立場の日本人の観客はどっちが得点しても大喜びな感じなので、サウジゴール裏に座っていても、ドイツが点を決めれば大喜びっていうか。最初のうちは良かったんだけど、4点目入れられたあたりから素直に喜べなくなっちゃったよ‥‥。
いや、それでもちゃんとサウジのサポーターに合わせて手拍子をしたり、日本人観客からもサウジを応援する声が上がっていたからいいんだけどね。
半ば同情じみた歓声に、サウジの選手は奮起してもらいたいものだ。

■追記■
謎の空席については、「海外分のチケットがちゃんと届いていないらしいし、それも関係あるんじゃないですかね?」とか思っていたけど、戻ってからニュースを見て、こんな大事になっていたとは‥‥と。売上云々以上に、スタジアムの盛り上が欠ける要因になってしまうので、どうにかならんものだろうか。